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無題

02 21 *2016 | Category 詩・定型&不定型


続き





たとえて云うなら今あるわたしは
嘗て己が結んだ像が埃となり
風に吹き寄せられ再び形をなしたようなもの
いつでも消えられる
いつでも無になれる
ただ
医師の宣告や弔いや
おそらくは涙にふさわしい時を生きては来なかったゆえに
まだ美しいものがどこかにあるかもしれないと
探し求める心残り故に
埃だとて観よう
埃だとて聴こう
埃だとてくちをきこう
また風が吹けばいびつに姿を変えながら
埃だとて一人前にあがき
埃だとて一人前に苦しめる
そう思いつつ
てのひらの中にあけたものを
一口のやわらかい水で飲み下す

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